『ベルとドロップス』(スクベル) |
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| がらがら目一杯音を立てながらクスクス笑い。 「うるせぇぞぉ」 「うしし」 上機嫌なのは新しく買ったばかりで、ドロップスの缶が満杯だから。 金は余るほどあるくせ、案外使い道は普通というか地味で。 (何十缶何百缶と買いためりゃぁいい) 「おすそわけ!」 一粒、投げられて来たのを察し、拳で受け取る。 赤く透き通った飴菓子、手の中で小さく輝き、石に見えた。 気づけばじっと、こちらを見てるベルは静かで、 注目されていることが照れ臭く、さっさと口の中、 石を放り込む。 「・・・」 味というものが感じられて(甘い・・・) 視線をやると満足気、微笑んだ王子様は、 向き直るとさらに激しく、がらがら缶を振った。 あまり振ると蓋が開いて中身が飛び出す、 と言おうとして目の前、 まさにその事態。 「げ・・・」 「あーあーやっちまったなぁ」 「中身ゼロなんだけど、 王子泣いちゃうよこれ・・・ スクアーロどうにかしろ」 「命令系かよ」 「ありえねー、超飛び散って・・・ 死体かよって」 「その例えやめろぉ・・・」 (俺の口内にはその一部が・・・) 「・・・おいベル」 「ん?」 「一つなら回収できるぞ」 「・・・ベタなマネ!」 「要らねぇか?」 「・・・いるけど」 「なら顔貸せ・・・」 部屋中、散った飴の壁にぶつかって、 粉方になったもの等が漂っているのか、 甘い匂いが溢れていた。
END
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Friday, 26, Oct | トラックバック(0) | コメント(0) | ●ヴァリアー | 管理
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