『半分愛』(レヴィベル)-1 |
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| 「またおまえとかよ」 「こっちのセリフだ」 ベルフェゴールは司令室の中、ボスの机に腰を掛けて、笑顔。 指令が降りるだろう次の瞬間を憂う。 二人組み制度など、消滅すればいい。 「ボス、まさかまた俺をこのガキの守り番にしようとか」 「不満か」 「いえ・・・」 何度目か知らない、悪魔とのコンビ。 「っていうか誰がガキ?ねぇ誰がガキ? やっべ、むかつく、むかついて来た、 ねぇボスこいつ絞めていい?」 「好きにしろ」 「うしししし」 「ボス・・・!」 あまりに目まぐるしい悪魔にだけ都合良く進む事態。 俺の顔面に迫り来る悪魔の靴裏。ぎりぎりで、回避。 「うっわ生意気、レヴィのくせに避けた」 「・・・」 驚いた声を上げつつ、うきうきと次の蹴りを繰り出す。 必死に避けたりをしているそこで、目に映ったのは、 そろそろ次の仕事に移りたそうに苛付いているボスの顔色。 短く済むはずの任命作業に手を煩わせるわけにはいかない。 悪魔の腕を掴む。 自主の強制退室。 予想外の俺の動きに悪魔は従い、 ボスは無表情だったが、きっと機嫌を直しただろう。 「あれ?まだ俺ら命令されてなくね?」 「聞かずとも察するのが良質な部下だ」 閉めてしまった司令室の向こう、ボスの意は想定の範囲内だ。 「ま、いーけどさ、怒られんの俺じゃないしー」 「そうだな、貴様には過ちを正せる学習力がない、ボスはよくわかってる」 「・・・喧嘩売ってるわけ」 「気に障ったか、謝る」 「え、何おまえいつになくむかつくんですけど」 「むかつくと言えば怒りが伝えられると? 語彙の少ない奴だと思っていたが、 レベルが低すぎる、読書でもしろ」 怒気を隠さず唸るように捲くし立て、悪魔の声を聞かぬようにした。 「・・・レヴィ、機嫌悪ぃーの?」 「悪い」 「そっか」 「・・・」 「・・・」 (やめろ、素直に黙るのはやめろ!!) 危機。最近になり発生した問題。 『レヴィって女いないの?』 ぶり返す、始まりの言葉に溢れるのは焦り。 『その顔だもんなー、ケチっそうだし♪ 商売にくらい、手、出せば?』 『・・・』 『・・・あのね、話変わるけど、いや、 変わらない?・・・変わるか。 えっと何つーか、冗談で、半分本気、 笑うなよ、俺のこと抱いてみる気ない?』 がん、と音を立てて壁にぶつかった頭、 額がひりひりと、衝撃を主張していた。 何か考えながらの移動は、事故の元だ。 「何やってんの馬鹿じゃねーの馬ー鹿、 でこ撫でる?」 「・・・いらん!!」 ただ、目を合わさず間を作らず、 まず屋敷の外に向かう。早足で。 車で目的地に向かおうと、運転手を探す。 見つけたら取次に集中、会話の隙を消す。 (誰とのかと言えば悪魔との・・・) 乗り込んだ車内では、いつもならする手順の確認をせず、 まさかの狸寝入りを決め込んだ。 「意識してくれてんのは嬉しんだけどさ、 微妙に傷つくんですけどさっきから」 ぼそりと聞こえ肝が冷える。 肩に軽い重み。 (ひっつくなぁああー!!!)
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Thursday, 05, Jul | トラックバック(0) | コメント(0) | ●ヴァリアー | 管理
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