SS + P&C
 
カテゴリーの『取扱について』を読んで下さい。
 



『王家の沈黙』(雲ベル)-2 42000hitキリリク※R16 

「んっ」
声が突然漏れて、自分の、置かれた状況に意識が戻り、
慌てる。
「可愛い声」
壁に追い詰められて、何時の間にか服の中に、
侵入して来ていた雲雀の手の指の悪戯。
こういった行為を、
している時だけ浮かぶ雲雀の笑み、
意地悪いが美しかった。
「ねぇ」
腹を撫でられ背が緊張でしなる。
「移動してじっくりやりたい?
 それともここでちょっとだけ恥かしい思いする?」
「どういう・・・」
意味だと、言おうとして固まる。
屋上にいた獄寺が、階段の上のほうで、
放心してこちらを見下ろしていたのだ。
「っ!!」
突き飛ばそうと出した右腕は軽く避けられ、
そのまま掴まれて上で押さえつけられる。
左腕はまだ動かなかった。
「・・・っ」
濃厚な、口付けをして来た雲雀を大声で罵りたかった。
「っ殺・・・」
脅そうとして出した声は潰され、首に走ったぬめりに身が震えた。
獄寺は怒鳴るでも喚くでもなく固まって動かず、
じっとこちらを見ている。
「あっち行けっ」
振り絞って出した嘆きは、涙声だったかもしれない。
弾かれたように、獄寺が立ち去ってくれたので、
息を深く付き涙を零す。
情けなく屈辱的でいたたまれず、
何故こうなったのかと嗜好する頭は恥辱の熱で、
ゆで上がって役に立たない。
「恥かしかった?」
「っ」
からかいの色を含んだ、声を出した首を締めてやろうか。
「・・・ッ・・・!!」
怒りを伝えたいのに、震えてしまう咽喉が憎い。
激情の熱が伝い落ちて、頬を濡らしスースーとしている。
ピクリと、雲雀は動きを止めた。
涙で濡れた瞳が、下から覗き見えたのだろう、困惑している。
「おまえのこと、・・・殺したい、・・・切り刻んで二度と、
 俺に、こんなこと、できないようにしてやる・・・」



Thursday, 01, Mar | トラックバック(0) | コメント(0) | ●他 | 管理

この記事へのコメント投稿はできない設定になっています
コメントはありません。


(1/1ページ)