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『人間時間』(三年後ツナザン+スクベル←雲雀)ー4 ※R16

「あいつは、てめぇの思ってるほど御堅くねぇぞぉ、単純脳だしな」
「単純脳って、よせよ、ますます可愛く見えてくるだろ!」
(う゛ぉおい!どーゆー趣味だぁ)
思い返せば以前沢田の好いていたという女も、
どこかズレたような、ボケたようなヌケたような雰囲気だった。
「わかんねぇ、てめぇとは一生女の好みは合わなそうだぁ」
「いいじゃない恋敵になる心配なくて」
「・・・」
ピーンと、恋敵、その言葉がキーワードとなって不安が戻る。
「なぁ、本当にあの、あれだ、
 雲雀って奴は、ベルを好いてんのか、
 いっとくが奴は口は減らねーし人使い荒いし甘え上手だし子悪魔だぞ、
 そりゃ寝れば少しは可愛くも見えるが騙されてる、
 気付いた時には遅い、虜だ、忠告しとけ」
「えーと」
沢田は申し訳なさそうに眉を寄せて言葉を探し、
獄寺は「はぁ?」と大声を上げた。
「あンの野朗うしうし笑うだけで何考えてんのかわかんねーし、
 俺にゃどう見てもただの悪魔に見えるぞ」
「寝ればわかる、寝てみろ」
「寝・・・」
「まぁ寝たら寝たでてめぇは俺に半殺しにされるわけだが」
「はぁ?!十代目ぇ、何すかこのノロケ男」
「ノロケちゃいねぇ事実だ」
「ごめんスクアーロ、フォローできない、
 あー・・・やっぱ色事で内部抗争かぁ、恥かしいなぁ」
「ああ゛ッ?!だから違・・・ッ」
「うるせぇぞカス」
見れば憔悴しきった、ように見えるザンザスがぐったりと座っている。
広く、取られた席で珍しく端に寄っていた。
「ザンザス」
沢田が声を掛けるとビクリと、身を震わせ自分と、反対側の端を指差す。
「はいはい、こっちに座れってことね、
 わかってるよ、俺が嫌いになったんだね、ザンザス。
 この前の、そんなに嫌だったんだ?
・・・気付けないでごめんね?
 やっぱり俺は駄目だなぁ、もう強引なことは一切しないよ」
「ばッ・・・カス・・・つ、綱吉」
(綱吉・・・)
「てめぇは俺を倒した、てめぇが駄目なら俺は何だ、
 俺も強いてめぇも強いだが俺よりてめぇが強い、この理屈以外は認めねぇ」
「ああ、だからそういう問題じゃなくて」
「押しが良くて何が悪いこっちの態度いちいち伺ってんじゃねぇ、カ・・・ツナが!」
(貶しになってねぇぞ)
「でも、こうやってザンザスに避けられたりすると悲しいよ、
 俺はただ君に嫌われたくないんだよ」
「き・・・ッ、嫌ってんじゃねぇ、これは・・・照れてるだけだ!!」
逆上する奴の頬が赤い。怒っているように見えるがちがうらしい。
「照れてたんだ」
「照れてたのか」
「照れてたらしいすね十代目」
「照れて・・・」
そこで沢田も目をキラキラさせる。
「照れてたんだ」
「~ッ、がぁああああ!!」
繰り返された言葉に、ザンザスは今度は憤怒した。
「大体、同行者が多い、何のつもりだ」
ギロリと、睨まれ一歩下がる。
「いや、ザンザスが安心するかなぁと思って」
「・・・」
何か考えているのか、目を細めて固まったザンザス。
「スクアーロ、任務はどうした」
「済ましたぜぇ」
得てして頭はすぐ組織へと戻る、この上司を尊敬している。
「ベルと組んでの奴だったな、北京の」
「ああ、そのついでにあいつと日本に寄った」
「情報、16時の情報だ、日本時間の、耳入ってるか」
「いや、何だぁ」
「残党が敵討ち騒ぎを起こした、てめぇかベルのほうだ」
「ッ?!」
「ベルはあれで無駄な殺しが多い、恨みも買ってる、
 協力者は後を経たねぇだろう、
 何があった、残党など、出すてめぇらじゃねぇだろう」
「・・・」
「ベルが切れでもしたのか」
「・・・」
「大方それをてめぇが止めたか」
「ッ」
「あれはあれで一種のスタイルだ、
 変に介入するからそうなる」
緩やかな音に飾られていた店を、ドスドスドスバタンと、
盛大に騒がせて後にする。
他人を面白がっている場合では無かった。



Thursday, 01, Mar | トラックバック(0) | コメント(0) | ●ヴァリアー | 管理

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