『でっかい子ども』(ザンベル) ※ザンザス様馬鹿過ぎ警報 |
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| 「ベル・・・」 日本についてすぐにどこかに、 消えてしまった上司が夜中、 ドアを叩いてきたので心臓が跳ねた。
(まさか・・・)
異国でまでアレをするのか。 いつも夜中突如やって来てはこちらの、 有無を問わずそれを行う。 何を言っても聞かず、己の思うままに事態を運ぶ。 身勝手なこの男を何と呼ぼうか。 「入れろ」 「やだ」 「入れろ・・・」 「やだって、他当たってよ」 「ドア壊すぞ」 「っ・・・」 しぶしぶ開錠。 意気揚々と侵入して来てトンと、 机にあるものをのせる。 「・・・」 白を基盤にしたその箱を開けるとそこに、 「ショートケーキ・・・」 ちょんと、可愛らしく鎮座した菓子を眺める。 「・・・おまえが食うかと」 そして周りには気の滅入るような量の・・・ドライアイス。 「恥かしくなかった?買うの。 っていうかドライアイス明らかに多すぎ」 「・・・おまえが食うかと」 「食わないよ」 他愛の無い会話をしているが恐らく上司の、 脳内は別のことで一杯になっているのだろう。 「ベル・・・」 (来た・・・) 「少し付き合え」 「やだ」 「ベル・・・」 肩を掴まれ、重圧的な握力。 「・・・っ」 「いいな?」 「・・・一人ですればいいじゃん、何で俺が」 「ベル!」 「はいはーいー」 ダイニングまで手を引かれて着くと、 楽しそうに多量のドライアイスの入った袋を上司は、 洗面器にざらざらと注ぎ込んで鼻歌。 「楽しそうだね」 「もう癖だな、突然、無償に、やりたくなるんだ」 「あーそー、その度につき合わされてる俺って可哀想だね、 体力消費率高いし寝不足になるし・・・」 「・・・」 目の前を水道の勢いのある水が落下。 ジュワワワワワワワワッ!! もわりと、辺りが白くなり横にいる上司さえぼやける。 「おー、おー、おー」 「楽しい?」 「楽しい」 弾んだ声。 「ベル見ろ」 人差し指を立てた手と手を縦に組み合わせて、 「ニンジャだ、ニンジャ」 照れくさそうに、(恥ずいならやるな) 白い煙の中で上司が騒ぐ。 「あー、うん、ジャパニーズスパイね」 「ああ、おまえもやれ」 「・・・え」 「やれ」 きょろきょろと辺りを、 (伺う必要は無いけれど)伺う。 それから断腸の思いで、 両手の人差し指を立てて縦に重ねる。 「ニンニン・・・とか言ってみたりして」 「その調子だ」 (何が?) 「ニンニン、ニンジャブラック・ボスレッド」 「何それ」 「ニンジャ風通り名」 「・・・っ」 (謝れ、ニンジャに謝れ・・・っ!) 思わず心中で叫び固まる。 そんな俺を上司は気に掛けるでもなく、 己の世界の中だ。 そしてひたと俺を見つめ、 「そうだな、プリンス・イエロー・・・なんてどうだ」 「どうだとか言われても・・・」 (わけわかんねぇよ) 不満だらけで、悶々とする俺を無視して上司はぽんと手を打つ。 (その「閃いた!」の仕草時代錯誤なのわかってる?) 「これ、鏡の前に持ってってポーズの練習でもするか」
「・・・絶対やだ!」
END
ドライアイス大好きのボス。 他にも子どもっぽい小物とかだいすき。 (EX:ビー玉、ふきもしないオカリナ、蜘蛛のおもちゃ)
ボスは馬鹿だ。 馬鹿で子どもだといい! なんていう私の妄想の産物。
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Wednesday, 05, Jul | トラックバック(0) | コメント(0) | ●ヴァリアー | 管理
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