『お気に入り』(イルウル←ヤミ、+グリロイ)―1 |
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皆の集まる場で今、 エドラドはウルキオラの命令でイールフォルトのすぐ横に直立させられていた。 「あー、も少しバックな」 「・・・」 指示をするヤミーにこそこそとウルキオラが耳打ちをし、 「完成、そのままちょっとじっとしてろ」 ヤミーに言われ数人集まった観衆の前、 エドラドはイールフォルトから一歩引いた場で立ち尽くしていた。 「やはり・・・」 小さいがはっきりと聞き取れたウルキオラの声は恍惚としている。 「今日もイールフォルトは美しい・・・」 「ああ」 面倒くさそうなヤミーの相槌を無視し続ける。 「背景に粗野な者を置くと一層引き立つな ああ・・・眩暈がする、輝きにあてられた」 嬉しそうにふふっと呟きヤミーに持たれかかる。 「っと」 身体を預けられ少し嬉しそうな顔をしたヤミーだが、 すぐに、はっとなりウルキオラに伺いを立てた。 「おい、もう開放してやってもいいよな?」 イールフォルトのバックにちらりと、気の毒そうな視線を送った。 引き立て役にさせられているエドラドに同情しているらしい。 「はぁ・・・ったく」 今に始まったことでは無いがエドラドは確かにうんざりしていた。 「一体何なんだ、いつもいつも」 去って行くウルキオラとヤミーに向かい、気難しい顔でイールフォルトが呟く。 思わずその肩にぽん、と手を置き息を吐いた。 「おまえも、とんでもねぇのに気に入られちまったよな」 「は?」 見目の良いイールフォルトにウルキオラが心酔していることは多くのものが知っている。 所謂、お気に入りというもので、 同じくディ・ロイを常に傍に置いて連れ回しているグリムジョーと違い、 ウルキオラはいくらか内向的な所があるため決してイールフォルト本人に話し掛けることはなかった。 会話もすべてヤミーを介入させているし先ほどのような自己満足的な行為を行うにしても自ら手を下すことは無かった。 『俺様シャイ』『クール乙女』などと呼ばれている所以である。
通路、歩きながらふいにヤミーが口を開いた。 「・・・おまえってホント面食いだよな」 「ん?」 「藍染様といいイールフォルトといい、顔の良い奴にはほんと好意的っつーか」 「まぁな」 「・・・俺、可哀想だなぁ」 ぼんやりとヤミーは嘆く。 「?」
「あー」
そこで気の抜けるような声が上がり向くと、 ディ・ロイが飼い主を見つけた犬のような顔でこちらに向かってくる。 「ウルキオラじゃんっ」 「ディ・ロイ」 虚界の中では比較的まともな容姿なため、それなりにウルキオラに可愛がられているのだ。 「相っ変わらず何いいのなー、ヤミーとウルキオラって」 「は?」 「いっつも一緒だよな、飽きねぇの?」 「・・・」 そこを指摘されるとは思ってもみなかったのだろうウルキオラはきょとんと、 言葉を失いヤミーは密かに照れていた。
「おい」
地の底から響くかというほどの低い声がディ・ロイの後ろから聞えた。 「うおっ?!」 ぎょっとして目を見開いたディ・ロイに、後ろから何かが抱き付いて来て呟いた。 「てめぇコノヤロー俺の傍離れねぇってこの前凄ぇ笑顔で宣言したじゃねぇかよ、 何突然消えてんだよ馬鹿野廊、超探しちまったじゃねぇかっ・・・」 「・・・あー」 心底呆れたような、面倒くさそうな顔と声でディ・ロイが対応する。 「って、おまっ、何ウルキオラなんかと話してんだよ」 「いいじゃん別に、俺ウルキオラ好きだもん」 「好っ・・・」 「あー、だからそういう意味じゃなくて、あの、・・・あーうぜ」 ポロリと出た本心を隠そうともせずひとまず、ディ・ロイはにっこりと笑った。 「あのさ、グリムジョーのそういう馬鹿でヤキモチ焼きなトコすっげー可愛くて好きだよ。 でも変な誤解だけは勘弁して?俺が愛してんのはグリムジョーだけ! 信じてくんなきゃ俺、 悲しくてしばらくアレの時ピーとかピーに応えてあげらんなくなっちゃう」 (脅しか?!) 誰もが心中で突っ込んだが一人、 グリムジョーだけが真面目な顔で、「それは困る」と返答をして大人しくなった。
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Saturday, 08, Jul | トラックバック(0) | コメント(0) | ●他CP | 管理
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