『抗議』(ディ・ロイ総受け)― 2 キリバン7000hitリク |
|
|
「ってわけだから今すぐ取り消せよ」 格下の者を数人説き伏せ、 現在半分以上の取り消しを完成させたディ・ロイは、 次、と名簿に視線を落としふと見慣れた名を見て顔を歪めた。 「イールフォルト・・・」 あいつか・・・と思わずしゃがみ込んだ。 人通りの多い通路にも関わらず、顔面をつっぷして嘆きたくなる。 「う~」 できることなら近寄りたく無いと思っていた天敵であった。 「・・・後回しにしよ」 呟いたところで声が上がる。 「退け、カス」 「うわっ」 忘れもしないその声に飛び上がる。 やはりわき腹に蹴りが入り、痛みに汗が浮かんだ。 大概、この男と関わると必ずどこかに痣ができる。 「暴力、反対」 「・・・何を持ってる」 「あっ!」 奪われ焦る。 「返せよっ」 「・・・」 イールフォルトは名簿を数秒見つめると、 さっと頭上へ運び一言、「没収だ」と言って、 もう一度ディ・ロイを蹴り飛ばし去って行った。 「・・・嘘ぉ」 涙声でもう一度呟く。 がっくりと肩を落としたディ・ロイの後ろ、 エドラドとグリムジョーが歩いてきた。 「何やってんだ?」 「情けねぇ面すんな、破面だろ」 「だってよぉ」 わけを離すと二人は陽気に笑った。 「そういや署名だとか何とか、前出回ってたなー」 「俺は服装なんてーのは個人の自由だと思うけどな」 「だろ」 乗り出したディ・ロイの、 うっすらと浮くあばらをふと、グリムジョーが眺める。 「・・・ホント、自由だ、隠すことねぇよ、自由だ」 「自由自由、本人が見せるのを望んでんだからな」 なだらかな腹の線を見つめエドラドも同意する。 「ディ・ロイ、俺たちはてめぇの味方だ、 遠慮なく晒せ、チラリズム賛成」 「ちらりずむ?」 グリムジョーの言葉にエドラドが頷く。 「チラリズム、丸見えの腹もいいが、 目玉はアレだ、見えそうで見えないチク・・・」 「クソがぁあああ!」 喚き声と共にやって来た飛び蹴りがエドラドを吹き飛ばした。 「うわ、出た!」 「出たとは何だ、 俺はおまえをセクハラ発言から守ってやったんだ!」 「は?」 「教えてやる、そんな服装をしていたらどうなるのか!」 「ちょ、痛っ、っにすんだよ、放せよ」 腕をつかまれディ・ロイが悲鳴を上げる。 「来い、教育的指導だ!グリムジョー、手伝え」 「面白そうじゃねぇか」 イールフォルトによって連れて行かれたディ・ロイは、 あたりが暗いことに不安を覚え怯えた目をして、 腕を掴むイールフォルトを見上げた。 「っ」 目が合うとイールフォルトは、 一瞬顔を赤らめ、それから乱暴にディ・ロイを地に付き飛ばした。 「っ痛!何すんだよ!」 「何って決まってんじゃねぇか」 「おまえは黙ってろ」 「・・・っ」 恐ろしくなりきょろきょろし出したディ・ロイに向かい、 イールフォルトは言った。 「よく見ていろ、・・・グリムジョー、動くなよ」 「あァ?!」 イールフォルトがしゃがんだかと思うと、 グリムジョーの腹の穴を舞台に見立てて、 穴の中にぴょんと指が登場した。 小指であろう小さい指が、ちょこちょこと動いていると、 前方から人差し指が近づいて来る。 『なんだあの今にも食って下さいと言いたげなカスは!」 人差し指がしゃべり、 『カスじゃねー!ばかー!あほー!』 小指が応える。 『ふん、きゃんきゃんと吠えるな、可愛がってやる!』 『うわ、何だよっ、何すんだよっ!』 『無駄に肌を露出して誘惑して来たおまえが悪い、 バシリ!』 『うっ!』 『力は俺のほうが上だ』 『くっ!』 『おとなしくしていれば痛くはしない、 ふふ・・・いいではないかいいではないか』 『あ~れ~』 人差し指が押し倒し、小指はぶるぶると震えてぱたりと力尽きた。 「・・・とまぁこんな感じだ」 「途中までなんか・・・嫌にリアルじゃなかったか? イメージトレーニングでもしてんのかってくらいに」 グリムジョーのコメントにギクリと、 イールフォルトは強張ったがすぐに気を取り直しディ・ロイを見つめた。 「どうだ、カス、怖くなったか」 「・・・もっかい」 「は?」 「もっかい今の!凄ぇ面白ぇ!! イールフォルト天才! 今度は小指が冒険とかするのがいい!」 「・・・」 『あ・・・あるところに小指という元気な男の子が・・・』 「乗せられてんなよ」 この後、延々と指芝居をさせられ、 ついにイールフォルトが折れて言った。 「名簿、取り消ししてやるから、もう、勘弁してくれ」 「マジで?!やった!サンキュ!」 こうしてディ・ロイの服装はそのままという結果になり、 その後、イールフォルトはなぜかディ・ロイに懐かれ、 密かに計画されていた鬼畜的奇襲計画は実行されずに終った。 「やっぱ自由が一番だよな」 「な」 ちなみにエドラドとグリムジョーは、 見れるものは見とけ同盟を二人で組んだのだった。
END
| |
|
Monday, 15, May | トラックバック(0) | コメント(1) | ●他CP | 管理
|
この記事へのコメント投稿はできない設定になっています |
アン様へ
|
|
| キリリクの『総受け』です! 総・・・受けと言い張ります。 ちょっとホントいたらないというかぎこちなくてスミマセン。
さらに皆が変態ちっくです。(ホントスミマセン)
・・・変態仲間のよしみで許してやって下さい! (勝手に仲間にするなよ!)
でも書いてて楽しかったです! 素敵リクありがとうございました^^
| |
|
by むー | Monday, 15, May
|