『猿』(グリウル) ―2 |
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頬を押さえ、よろめいたウルキオラを受け止め、 狼狽。 「悪い、おまえ、 ・・・避けろよ、じゃなくて、避けると思って、 まさか、 当たると思わなくて、じゃなくて、悪い、俺は猿だ」 「猿か」 「俺は猿だ」 必死。 「・・・おまえは猿か」 頭が白い。もう何でもいい。 「・・・俺は猿だ」 「ふっ」 「・・・っ」
(笑った)
「っはは、おまえは猿か」 「・・・」 拳の当たった、あたりの奴の頬を摩る。 「痛ぇか、まだ」 「平気だ」 「悪い」 「俺も言いすぎた」 「・・・」 「すまん、カッとなった、俺らしくない」 (確かにあの時のおまえはちょっといつものおまえじゃなかった) 「・・・」 ふとウルキオラの手が俺の額を撫でる。 「おまえは猿だ、だからおまえが俺に死ねと言うのは対して、 重みがない・・・本当は」 (本当は?) 「が、俺は猿ではない、もっと高等な、 言葉に責任を持つ生き物だ、 だから、 俺はおまえに死ねと、 言ってはいけなかった、悪い、本気じゃない」 「・・・」 (というか少し待て、凄く俺は馬鹿にされているような気がする) 「猿」 (・・・俺のことだよな) 「猿」 (もしかしてこれからずっとこう呼ぶ気か?) 「・・・返事をしろ猿、 おまえも悪いんだ猿、 俺はたとえお前が猿で、たいして考えもせず俺に死ねと、 言っていたとしても俺はそれが、おまえの、口から発せられるたび辛かった。 俺は・・・」 「やっぱ猿なんかじゃねぇぞ俺は!!!」 俺に向かい猿猿と連発しているウルキオラに不安になり叫ぶ。 後半の声が小さくてよく聞き取れなかった上俺はこの時少し正気に戻って来ていた。 「・・・」 (そりゃおまえちょっとさっきは気が動転してたからつい認めたけどおまえ、 俺の名前猿に完全変更する気満々だろ冗談じゃねぇ) 「俺は、 猿じゃねぇーっ」 「黙れわめくな」 「俺は・・・っ」 「キーキーうるさい」 「猿じゃねぇ」 「わかってる」 「俺は・・・」 「・・・ああ」 「・・・っ」 顔面、熱が広がり耳から湯気が出てる。 (何だその穏やかで優しい目は) 「・・・」 「グリムジョー・・・」 (そんな声出すな気が変になる、っていうか額撫でるな気絶する) 「ウルキオラっ・・・」 (そうだ今なら・・・) 「ウルキオラ」 「なんだ」 「ウルキオラ、・・・俺は、おまえが 」 「・・・?」 (伝えてしまおう今のうちに・・・) 「おまえが、おまえの、おまえを・・・」 「・・・」
「好きだ」
「・・・っ」 「好きだから、俺は、気になって、おまえが」 「・・・ああ」 「好きだ、信じらんねーかもしんねぇけど、本当に、 俺はおまえが好きで、だから、いつも死ねとか、 言ってるけど実際死んだら嫌だし・・・」 「ああ」 「わかれよ、俺のこと」 「・・・」 「俺がおまえに、つっかかるのはだから、そーゆーことなんだよ」 「・・・」 「ウルキオラ」 「・・・おまえこそ」 「あァ?」 「わかれ、俺を、今、本当はこっちから、言うつもりで、 信じると思わない、と、ためらって、それはこっちで」 「何が」 「もういい・・・」 「なァ」 「・・・」 「猿じゃねぇぞ俺は」 「わかってる」
END
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Monday, 24, Apr | トラックバック(0) | コメント(1) | ●グリウル | 管理
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by むー | Thursday, 01, Jun
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