『様子』(レヴィベル←ザン) ―2 |
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「レヴィ・・・」
足元の呼びかけに顔を向ける。 「話があるから、これから、俺の部屋来て」 「?」 「ベル・・・」 上司に焦ったような声で呼ばれ悪魔が笑う。 「一つだけアンタ、良いことしたよ俺に、 何つーか、 ・・・勢い、みたいなのくれた。 俺も、覚悟決める」 「・・・」 上司は黙り込みうな垂れているように見える。 「ベルフェゴール」 「何」 呼ぶとどこか緊張したように、 こちらに顔を向けた悪魔の声は少し震えていた。 「悪いがおまえの部屋には行けん」 「・・・え」 テンションの下がった返答、 「なんで」 心底不思議そうに奴は問いを繰り出す。 「ボスが俺に、話があるから」 「・・・ ・・・あー、そっか、 ・・・そういやそうだったっけ・・・って マ~ジ~か~よ~っ!!! そー来んのかよここでぇ~!!!! 何この展開っ!」 「レヴィ・・・」 「はい」 「話は別に、急ぎじゃない俺のことは気にするな」 「・・・」 「ボス・・・」 感動した様に悪魔が声を漏らしそれを、 遮り言い切る。 「ボスは絶対ですから、急ぎであろうとなかろうと、 ボスの話を聞きたいです」 「・・・ーっ!」 その言葉に悪魔は顔を盛大に歪めて、 前髪の向こうに覗いた瞳に少し涙を浮かべ叫んだ。 「コイツマジぶッ殺してぇ死ね死ね死ね死ね!」 「ベル・・・」 「もうヤダ、何で俺こんな奴に惚れてんの信じらんねぇ!」 叫んで頭を抱える、その頭上に何か足りない。 ボスが足を進めそれを取り出す。 「ベル」 「あ」 「少し落ち着け、こいつはいつもこんな調子だ、 それより忘れて行っただろう」 しゃら、と頭上に置かれたものに悪魔は気付き、息を吐きふと笑った。 「そうそう、これ取りに戻って来たんだよ俺」 「ああ」 「それと服だけどそっちは洗って返して」 「・・・ああ」 「馬鹿みてぇな、俺、 女みてぇ、なんか、ぎゃーぎゃー騒ぎすぎた・・・。 時間経って、落ち着いて来たらちょっと恥ずい、 別に妊娠するとかじゃないし・・・・ 突っ込まれたくらいでさ、ホント・・・ ・・・もういいや」 「ベル・・・」 「次は無いからそれだけ覚えといて」 「・・・」 ようやく、少しずつ話が見える。 妙にチクチクと痛む心。
いつもいつも脳内を占めていた憎い悪魔が、 蹲っていたのを見つけたあの瞬間、 こちらを見た縋るような雰囲気、 笑みが違って見えたのはつまり元気がなかったからで、 蛮族な暴力は感情が高ぶりそれが抑えられず出た失態。 早く戻れ早く戻れ。
憎いおまえを苦しめるのは俺の手一つ。 勝手に泣くのは不快で勝手に不幸であるのは気に食わない。
上司が悪魔を寵愛したその事実がわかった時に、 認めたくないと感じたのは上司の精神が悪魔に堕ちた事実か、 悪魔の身が上司に捧げられた事実か。
END
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Monday, 10, Jul | トラックバック(0) | コメント(0) | ●ヴァリアー | 管理
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