『関係』⑦ 破面高校生パラレル |
|
|
11:20・・・
正門を入るとすぐの、
天井の高い建物。
隣に部活棟を従え悠然と建っている体育館は現在、
全校生徒+職員を飲み込みざわざわとしていた。
今夜、緊急で開かれた全校集会の場で、
マイクの設けられたステージを前方にざわめく、
人ごみが静かになった。
教職員を代表するシャウロンがマイクを通し、
咳払いで集会開始の合図を発したからだ。
表面だけ姿勢を正す人の海の中で、
ウルキオラは先ほどグリムジョーから届いたメールの、
内容を思い返し眉間にしわを寄せていた。
(・・・ふざけている?)
そこでふと欠けたクラスメイトの位置を見やる。
・・・集会を無視し厳しい罰則を受けてまで、
悪ふざけをする者とも思えなかった。
(ディ・ロイ・・・)
何もしていないのに警察に捕えられて、
身動きができないというのだ。
(・・・わけがわからない)
そこで、
辺りがざわめきウルキオラは我に帰った。
「・・・っ」
感情が高ぶる。
ステージのマイクの前に、
立つ人物のどこか神々しい気品が目に焼きつき胸が鳴った。
見よりの無いウルキオラが遠い、
親戚の家で肩身狭く暮らしていた時に現れた救世主だった。
8歳、
自我が素直な心を邪魔し家族と呼ぶべき人々を認められず自然、
孤立したウルキオラは次第に家の中で、
陰口を叩かれさらには理由なく辛い扱いを受けることもあった。
居場所を提供すると申し出た藍染は救世主に見えて、
学園に入った時に今の、
時世ではどこか不自然であった様付けの彼の呼び名も、
深い意味を考えず受け入れ今も、
(藍染様・・・っ)
敬意と憧れを持ち心内で彼を呼んだ。
「2分」
彼が言葉を発した。
「イマジネーションの時間を取りたい。
リアルに、想像し、
思い浮かべてもらいたいことがあるんだ。
大切なことだよ・・・
君たちの、
未来がかかっているから、
どうか、
真剣に行ってほしい・・・」
・・・?
ウルキオラを始め多くの、
者が疑問の顔で次の言葉を待った。
「殺される瞬間・・・」
冷たい声に芯が震えた。
「そして、
死に逝く自分・・・
それをイメージして2分、
リアルに、
すべてを感じられるまで何度も、
繰り返し繰り返しイメージしてみるんだ。
この、
行為が君たちに重要であるから、
僕は要求するんだよ」
(・・・)
にこりと、
藍染は静かな笑みを浮かべた。
死・・・
そんな冷たい単語を、
口にしておいて藍染は笑う。
これが、
この人の本質なのだとウルキオラは悟った。
見てしまったその素顔は彼にとてもよく似合うとも思えた。
反感は湧か無かった。
| |
|
Monday, 10, Mar | トラックバック(0) | コメント(0) | ●高校生破面 | 管理
|
この記事へのコメント投稿はできない設定になっています |