『規則』(グリウル)⑩ アンケート1位/高校生破面 |
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(ああ、そうかこいつか・・・)
すべてを悟った俺の横で、
ディ・ロイが号泣している。
「ぐす、うぅっ、ぅん、ぐぅ、うっ」
(泣き方がガキ臭ぇぞおい)
「ったく」
渡してやったハンカチでディ・ロイは、
思い切り鼻をかんだ。
(野郎、ぜってぇ洗って返せよコラ)
「ヤミー」
「なんだ?」
「好きだ」
「ああ、ありがとよ」
「好きなんだ」
「俺だって好きだぜ・・・」
「山のおっちゃん!俺も俺も!
俺も山のおっちゃん好きだ~」
「おう」
(なんだこの絵ヅラは・・・)
でかい、用務員にまだ、骨格の出来上がっていない10代の、
少年あがりの細い体の男子生徒二人が大告白大会をしている。
(シュールだ・・・)
「おまえが、何処に行っても愛し続ける・・・」
(だからおまえセリフが臭ぇって・・・)
「おいおい大げさだな?」
「おまえの嫁にも、負けないぐらいにおまえを思う」
「はは・・・愛されてるなぁ俺」
(おい笑うな、そいつ本気で言ってんだぞ)
出来ることなら、俺もこの告白大会に身を任せ、
優等生に心内を明かしてしまいたかった。
(クソ・・・)
「結婚式、
出てやってもいいぞおまえの、
晴れ姿見届けてやる」
(結婚・・・)
呟いたウルキオラの声には、
何かの覚悟が滲んでいる。
「え、何、山のおっちゃん結婚するの?」
「へへ、まぁな?」
「・・・」
「スッゲー、やるじゃんおっちゃん!
そっか、だから辞めるんだ学校!
なんだよー!羨ましいなーおっちゃん!」
「おい」
その話題を、
それ以上その優等生の前で、
して欲しくなくて思わず上げた声に、
皆が注目する。
「俺も出席させろ」
そこで、
優等生と目が合う。
・・・不思議な表情をしていた。
用務員は、
結婚の話になった途端に、
すべての苦労から抜け出せたかのように、
幸福そうな顔になって、
それは決して、
悪いことでは無いというのに悔しく感じた。
俺はこっちに来いと、
優等生を目で呼ぶ。
優等生の目に、戸惑いの色が見えた。
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Sunday, 19, Feb | トラックバック(0) | コメント(0) | ●グリウル | 管理
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