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『規則』(グリウル)⑧ アンケート1位/高校生破面




「・・・」

なんだか宗教めいた言い方ではあったものの、

吸い込まれるような声に酔って、

俺は何も口出しをせず黙っていた。

肩に、掛かっていた熱と重みが消えて、

目をやると優等生はベットの、

すぐ横に立って焦点の、

会わない瞳を持て余していた。

「昼間、のあれはその男に、

 振られたのが原因だ」

「・・・っ」

予想外の所で、

答えが飛び込んで来て慌てた。



「殴る!!」



思考する前に叫び出した言葉は、

「は?」

「おまえのこと、振った奴を殴る」

単純で言いなれた言葉だった。

「馬鹿言うな、

 そんなことをしたら俺がおまえを社会的に抹殺するぞ」

「っ・・・」

(今さらっと恐ろしい事を口にしたよなこいつ・・・)

「勘違いするな、

 あいつは何も悪くないんだ俺が、

 一方的に好いて振られただけだからな」

「あ?・・・あー、ちょっと待て・・・、

 じゃ、その野郎とは特に、

 何かした間柄とか言うわけじゃねぇのか?」
「・・・何か?」

「あー、だから、肉体関係とかを・・・」

「まだない」

(まだって何だ・・・)

「ったくおまえが、

 愛したとか言うから深く取っちまったじゃねぇか、

 はー・・・紛らわしい」

「・・・」

「・・・」

「・・・馬鹿に、しているのか俺を?」

「してねぇよ別に」

「している」

「してねぇって」

「俺は!」

「なんだよ・・・」

「本気で、好いてたんだ!

 愛してたんだ!!」

「・・・」

「・・・好きだったんだ」

叫ぶように吐き出された声が耳に残る。

咽喉がツキリと、

何か、

自分でもわからない事を伝えようとして、

思いとどまって痛んだ。

「・・・」

「誰なんだよ」

「・・・?」

「相手の野郎は・・・」

思わず、

「・・・」

してしまった質問にふっと、

腹の立つ溜め息をつかれた。

「・・・教えるわけないだろ」

言うと思ったが言われるとがっくりする。

「だよな」

俺も変に冷静になって頷く。



ダンダン!

そこで突然ドアに、

激しく拳を打ち付ける音が聞えた。

「グリムジョー!

 グリムジョーやばい大変ー!!

 ウルキオラが行方不明ー!」

目の前の優等生の、

顔が緊張で引きつっていく。

黙ってその腕を掴み自分の、

寝ているベットの中に引きずりこんだ。

そうして起き上がって、

何食わぬ顔でドアを開ける。

「んだよ?」

「あ、悪い、かぜひいてたんだよな?

 でも、あの、最期にウルキオラ、

 グリムジョーと一緒にいたトコ、

 見たって奴がいて、

 それで・・・」

「俺は、かぜで動けなくなって、あいつに、

 寮まで肩貸してもらっただけだからよ」

「何か、様子とかおかしくなかった?」

「あー、わかんねぇ、あんま普段話したこともねぇし・・・」

見るとディ・ロイの後ろに、

でかい図体で山と呼ばれる用務員が、

青い顔で立っている。



Sunday, 19, Feb | トラックバック(0) | コメント(0) | ●グリウル | 管理

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