『規則』(グリウル)④ アンケート1位/高校生破面 |
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珍しく、
部活を休んだグリムジョーの部屋に、
見舞いに来たわけだけれども・・・
「お粥・・・」
なぜだか、大根の入った粥が、
鍋の中にあってさらに、
グリムジョーの寝ているベットの、
横には缶の、
スポーツドリンクがストロー付きで置いてあった。
微妙に、
部屋も片付いているような気がする。
「グリ・・・」
「あ?」
「彼女できたの?」
「ばーか」
ばーかと、
言うその反応はかなり妖しいと思う。
「できたでしょ」
「できてねぇよ大体、
機会ねぇだろーが女とは、
校舎も寮も違うし」
「でも・・・」
妖しい。
妖しい凄い妖しい。
「今度紹介しろな?」
力一杯、笑顔で迫る。
「出てけ」
「ひど」
「何しに来たんだおまえ」
「お見舞い」
「・・・」
案外、
元気そうにしているグリムジョーに、
安心した俺はベットの、
すぐ脇に座り込んだ。
「グリいねぇと張合いねぇんだもん部活」
「・・・」
「今日ウルも途中早退したし!
流行ってんのかなぁかぜ」
「・・・」
「珍しいんだぞーウルキオラが授業出ないっての、
あ、ウルキオラって俺のクラスメートな!
知ってるよな?この前教科書借りたんだもんな?」
「・・・」
「なんかなー、
ずっと無遅刻無欠席無早退だったんだってよー、
すげーよなー」
「・・・っそれ!」
突然、無言で話を聞いていたグリムジョーががばりと、
起き上がり真剣な顔でこっちに向いた。
「ホントか、それ・・・」
「何が?」
「あいつ・・・」
「???」
「くそ、何がっ!」
「グリ?」
「何が・・・」
苦々しそうに、
うめくグリムジョーはこの前、
ボクシングの大会の決勝試合で負けたぐらいに、
悔しそうな顔をしていた。
「一つ、聞くけどおまえのクラス、
いじめ、とか起きてないか?」
「いじめー?」
「そう、成績良い奴とかおとなしい奴がさ、
こっそり影でいじめられてるとか・・・」
「うーん、そんなことしたらウルキオラに睨まれるかんなー、
基本的に仲良いしうちのクラス」
「睨ま・・・」
「ああ、
ウルキオラ委員長でさ、
恐怖政治してる。
委員長謙風紀委員」
「・・・て、敵が多そうだな」
「いや、そうでも無ぇって、
ああ見えて面倒見いいから、
お母さんみたいになってる」
「お母さん?」
「俺は、本物に会ったことねぇから、
よくわかんねーけどたぶん、
お母さんってあんな感じなんじゃねぇかなーって」
「・・・」
「まぁいいや、
とにかく、
安静にしてろよ!
明日の、朝練のほうも休みなんだろ?
コーチに伝えとくから。
早く治せよ!」
言ってそろそろ、
退室するべく立ち上がりドアに向かう。
「おい・・・」
まだ何か言いたそうなグリムジョーの、
言葉を背で受けて、
「絶対今度紹介しろよ!彼女!」
取り敢えず思いついたセリフを返すと、
「そんなんいねぇっつーの!」
いらついたような声色で、
枕が飛んできた。
バタン!!
(ばふっ!)
ドアの向こうで、
枕が衝突した音が聞えて、
その後、
部屋の中を一人で、
のろのろとドアにぶつかった枕を、
取りに起き上がるグリムジョーを、
想像すると笑える。
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Sunday, 19, Feb | トラックバック(0) | コメント(0) | ●グリウル | 管理
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