『関係』⑩ ※神経の細いウルキオラ注意 |
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「何かというのは何なのですか?!」
聞くと、
藍染は笑って腕を組んだ。
「うーん・・・
そうだね、
君が、一番に大切なのは?」
「え・・・」
そこで、さきほど自分のために頭を下げた用務員を連想し、
藍染を見る。
「思い浮かべられる?」
「はい」
「なら、
君の一番大切なのは君が、
気付けていない何かだったということだろうね」
「???」
「記憶を手繰ってごらん、
どこかに、不自然を感じれば気付ける。
先の数人もそれで気付いた」
「・・・」
「君は、音のすぐ傍にいたし、
運が悪かったね」
「・・・っ・・・」
音と言うのはウルキオラの、
携帯の出したもののことだろう。
そこでぞっとする事実を予感し、
背が凍る。
「あの、そ・・・音が・・・
もしかして音のせいであの、
俺と同じようにその数人は失ったんですか?
その、何かというのを・・・」
「・・・」
泣きたい・・・
「・・・俺の過失が、・・・そのせいでっ・・・」
「・・・」
自分など消えてしまえ・・・
「その言い振りからして、
その人の一番大切な記憶とかですか?!
だったら俺は・・・っ」
(とりかえしのつかないことを・・・)
「大丈夫」
「・・・っ」
「大丈夫だから・・・」
言い切る藍染の目は返答を強いていて、
「・・・はい」
「大丈夫」
責任の欠片をごっそりと持ち去り、
またにっこりと笑った。
「・・・この話は後にしようか」
宥めるように藍染が切り出す。
「もう一つ別に話があるから、そっちを先に話そう・・・」
「・・・はい」
思わぬ所で、
混乱に陥ってしまったウルキオラの状態に合わせた選択。
自責に、潰されそうなウルキオラの頭を藍染は黙って撫でた。
「君の、過ちとは別に君に、
あるお願いがあるんだ。
それには、危険が伴うからどうしても、
かわいそうだが知ってもらわなければならないことがある」
「はい・・・」
「優秀な生徒だと誇りに思っているよ、
君を・・・
だから君に託す。 覚悟をして聞いて欲しい」
「・・・」
目を瞑って、
藍染はゆっくりと息を吐いた。
「一昔前にね」
必要だと言う説明をなるべくわかりやすく、
伝えようと慎重に言葉を選んだ。
なるべく、
わかりやすく衝撃の少ない形で・・・
「ある完全性を持ったプログラムが生まれた」
昔話のように始まる恐ろしい現実の告知・・・
「完全犯罪予防システム・・・『崩玉』
犯人の完全予期が可能で、
たった6つや8つの子どもの未来にさえ、
罪の影を見出す常識外れの装置」
「・・・」
「その装置に早くから感知された子どもが、
集められてこの学園は建った。
つまるところ、
ここは未来の犯罪者の巣窟だ。
それを、隠すように募集した現地の生徒の壁を透かして、
ここの、
生徒たちの秘密がこの間警察に知られた。
・・・危険なお使いだよウルキオラ、
君が、
一番に警戒し避けなければならないのは警察機関なんだ。
・・・制服は脱いでいくんだよ、
わかったね、
ここに書いた所で、
これを・・・」
渡されたものは手紙と筒だった。
「朽木白夜という人物に届けてくれるかい?」
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Saturday, 15, Mar | トラックバック(0) | コメント(0) | ●高校生破面 | 管理
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