SS + P&C
 
カテゴリーの『取扱について』を読んで下さい。
 



リクエストSS エドイル


「好きだ」

「・・・死ね」

「付き合・・・」

「死ね」

「ちょ、まぁ聞けよ俺はな・・・」

「クソがぁああっ」



ズゴ!

・・・顔面チョップ。

軽く眩暈のする痛さ。



深く

眉間に刻まれた皺が、

美しい顔を2割ほど台無しにしている。

それでも、

8割まだ麗しさの残る奴の顔は、

相当に芸術的な造りをしているのだろう。



「だから、つーか、その」

降りかかる攻撃を避けて、

「俺はよ!」

距離を置いて防御態勢を取りながらの口説き落し。

「付き合ってどうこうしようって

 言ってるわけじゃねーんだよその、

 行動とかをさ、

 一緒にするとか・・・つまり、

 近くに居合うっつーか、

 そんだけ、そんだけだから!」

巷で言う付き合い、

というのはほぼ肉体関係が目的の場合が多く、

大抵、力の強い方の一存でその、

関係が結ばれることが多かった。

「死ね」

「そんなに、

 嫌だってなら強要しねぇよ。

 俺は、

 ただおまえが好きなだけだからよ、

 なぁ、取り敢えず考えるくらいしてくれよ、

 頼むから」

「・・・」

「俺は、

 純粋におまえが好きだからよ、

 絶対、嫌がることはしねぇつもりだし、

 だ、大事にする、から」

「どもるな」

「好きだ」

「聞いた」

「・・・っ」

「本当に・・・」

「?」

「居るだけでいいのか?」

「あ?」

「俺と居て楽しいか?」

「た・・・

(楽しいというよりは・・・)

 幸せ?

 に、なる、

 からよ」

「そうか・・・」

言うと何を思ったか、我侭王子は俺に、

それはそれは美しい笑みを向けた。

邪気の、抜けた顔がたまらなく愛しい。

「ま、その、抱きしめるとかそういうのは、

 うっかりしちまうかもしんねぇけど」

(ていうか今まさに凄い腕に押し込めてぇよおまえを)

「俺と、付き合ってくれよ、一緒に、居てくれ」

「・・・」

口を、

開けば暴言、

手を、上げれば暴力。

性格は超絶凶悪、

取り得は美貌。



精神は常にグラグラ、



なんだか危なっかしい・・・



その、

危うさに惹かれたのかもしれない。

綺麗な顔も、

ひん曲がった性格も、

ぐさりと刺さる言葉を、

吐き出す口も乱暴な拳も、

すべて抱き留めてやりたい。

「・・・」

「・・・」

「物好きだな、兄弟」

「・・・兄弟言うな」

(俺がいけない気持ちになるから!)

「エドラド・・・」

「なんだよ」

「何が・・・」

「ああ?」

「好きだ?俺の、

 どこが好きだ?」

「あー・・・」

(多すぎて無理、取り敢えずすべて)

「答えろ、30秒内!」

「顔?」

咄嗟に、

出た答えに奴の顔が歪む。



ガスッ!



膝下に鈍い衝撃。

「痛ぇーっ」

「死ね、カス、ゴミ、ウジラド!」

「・・・名前改造やめろ」

「死ね死ね死ね死ね」

「暴言連射も駄目だ」

「・・・っ」

「・・・」

「・・・」

「おい?」

静かになったのが不気味で、

覗き込んだら見えた、

不貞腐れたような顔、

その表情がどこか悩ましくて困った。

「クソが」

「・・・」

イールフォルトは俺を、

恨みがましい目で睨みつけた。

「っ」

「?!」

突然、それはまったく予期せぬことで、

心臓、

の音が激しくてうるさい。

何を思ったか俺の胸に、

顔を埋めて来た麗人から、

芯がくらくらするような良い匂いがして絶句。

(まずい)

「ぃールふぉっる・・・、おい!!」

「うるさい」

(まずい、何もしねぇって言った手前まずい!)

「虐めか?!」

「うるさい」

「つか返事!返事くれ返事!」

「せかすつもりか」

「・・・っ~!」

何かで、

気を紛らわせないと太刀打ちできない誘惑だった。

「凄いな・・・」

「ああ?」

「心音」

「・・・」

「むらむらしてるのか」

「してる」

「してるか」

(この野郎からかってんのかタチ悪ぃぞホントに馬鹿野朗、

 どこまで性格悪いんだトゲトゲ薔薇野郎!

 トゲと花の比が9:1じゃねえのかクソ!!)

「がまんしてるのか」

「・・・死にもの狂いでな」

「そうか」

「ああ」

(泣こうか、ホントにマジで泣いてしまいたいぞこの状況・・・)



一息に、

襲ってしまおうかと何度も、

本能が囁く。

それでも、

こいつからの信用を失いたくないと、

言ってがんとして動かない理性が、

とても頼もしいようで憎らしかった。



「エドラド」

「あ?」

「付き合ってやってもいいぞ」





   ・・・っ





「う・・・」

「?」

「腕回していいか?」

「好きにしろ」



なんだか、

夢かと思う展開に、

叫び出したい衝動を抑え、

黙って、

不安定な美の化身を、

抱きしめてその幸福を、

胸の中で感じた。



Thursday, 16, Feb | トラックバック(0) | コメント(1) | ●他CP | 管理

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コメント

反省という名の言い訳・・・

えー、つい先日拍手でエドイルを求めて下さった方、
去年の募集でエドイルリクをして下さった方々に向けて・・・
マイナーだマイナーだと思っていたエドイルに目を向けて下さってありがとうございますw
去年の方々には大変長らくお待たせしました。
エドイルです(取り敢えず言い張っとく)。
ゴ・・・ゴメンナサイ!!
お待たせしておいてスミマセン!
こんなんなってしまいました!!
裏で!とリクして下さった方スミマセン!
めちゃめちゃぬるいですね;
なんでしょうこの砂吐きな話・・・
えー、取り敢えず(私のエドイルへの)愛だけはこもってますので!
リクエストありがとうございましたw


 by むー | Thursday, 16, Feb


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