『以心』(ヤミグリ) ※グリムジョー片腕喪失後 |
|
|
前方にふらつく背中。
(あーあー慣れてねぇから動き方わかんねぇんだろーな)
時々壁に寄りかかりすぐに、残った拳でその壁を叩く。
子どものように何もかもの、
憤りを物にぶつけるその姿勢を眺めた。
「グリムジョー」
「あぁ?」
すぐさま噛み付くような顔が振り返り、俺を正面から捕らえた。 「逆側に多く体重かけろ」
「・・・」
少し驚いた顔をして、それから斜め下を睨む。
「動きやすくなんぜ」
「・・・ッチ」
舌打つとすぐ背を向けて、グリムジョーは進んでいく。
少し動きのスムーズになった後姿を飲み込みの速さに関心しながら見つめる。 「おい」
「んだよ」
「急いでんだろ」
「・・・」
つかつかと歩み寄り担ぎ上げる。
「!?」
「しょーがねぇ奴だな」
「誰がっ?!つか降ろせ!」
暴れるグリムジョーの抵抗は微温く、
肩ごしの苦情を無視して進む。
「・・・降ろせっつーの」
覇気の無い声に笑みが零れた。
体が欠けた悲しみと寂しさを埋める体温が時には必要になる。
腕を失った違和感を俺は先に体験していた。
| |
|
Saturday, 15, Apr | トラックバック(0) | コメント(0) | ●他CP | 管理
|
この記事へのコメント投稿はできない設定になっています |