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『関係』⑭(グリウル)





ついさっきまで確かにこの電話口の先には想い人が出ていた。

「誰なんだよてめぇは」

「まぁ落ち着けよ若造」

「ウルキオラ!ウルキオラを出せ!!」

「いやそれが、ちょっと手ぇ離せねぇ状況だからよ、

 伝言なら俺が・・・え?

バックでウルキオラの声が少ししたような気がする。

 お友達凄ぇ剣幕だけど・・・?

 本用に切っちゃっていいの?

親しげにこの中年の声と言葉を交わす。

 あー・・・後で電話するって言ってる、んじゃな」

「おい!」

そこで突然ブツリと、

切れた携帯を持つ手が震えていたのは恐らく、

言いようも無い不安と怒りからだった。

「ちくしょ、誰だ今のオヤジ?!」

ふと、過去ウルキオラが想いを寄せていたあの用務員が脳内を過ぎった。

(・・・あいつ・・・もしかしてオヤジ趣味なのか?それで・・・

 もしかして今の奴は新しい・・・いやまさか・・・でも・・・)

「くそっ!」



思わず殴った、手洗い場の壁を伝い天井からパラパラと粉が落ちる。



その時、

チャドが慌てて手洗い場へと駆け込んで来たため一瞬、

悪戯を発見されたような気持ちになりはっとして手を引っ込める。

「何だよ?!」

グリムジョーが声を上げるとチャドは黙ってグリムジョーの手を引く。

「・・・おいっ」

手洗い場を出てすぐ目についたのは先ほどまで警官とディ・ロイ・イールフォルトの居た席が空になっている光景。

「勘定は済ませた」

チャドが言い急ぎ外へ。

見るとパトカーが用意されていた。

「・・・くそっ」

グリムジョーはファミレスに止めてあった自転車を引っ張る。

鍵を素手で壊した。

チャドが驚くかと思ったがたいして反応は無くグリムジョーの意思を読んだかのように、

チャドは自転車を受け取ると引きながら四人へと慎重に向かう。

そして部下の警官に腕を持たれているイールフォルトに耳打つ。

部下の警官はパトカーの運転手と何やら話し込んでいて気づいていない。

イールフォルトはチャドを見て少し動揺していたがすぐに事態を飲み込み頷く。

銃はファミレスに入る前に仕舞われまだ出されていなかった。

一瞬、チャドの攻撃で部下の警官に出来た隙を突きイールフォルトは自転車に跨る。

グリムジョーが素早く、不貞腐れたように上司の警官の前を歩かされていたディ・ロイを、

直接持ち上げてイールフォルトの自転車の荷台に乗せる。

自身に、攻撃が来ることやディ・ロイ自身が、

逃げ出すことに気を付けていた上司の警官が面食らったような顔をし咄嗟に、

反応ができずにいたため思ったよりスムーズに事態は進む。

イールフォルトとディ・ロイはあっという間に闇に紛れて行った。







Sunday, 30, Mar | トラックバック(0) | コメント(0) | ●高校生破面 | 管理

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