干渉③(十ミヤ) |
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| 昼間廊下ですれちがった時の、奴の思いつめた顔を、 もっとちゃんと見ておけばよかった。
最悪の事態・・・ 奴の呼び出し先、定番、校舎裏物置前。
・・・やっぱ大嫌いだよおまえなんか。 いくらひと気が無いとは言え、ここは学校なワケで。 大声を出すわけにはいかないワケで。
俺が奴に犯されたのはコレで二度目。 充分な抵抗ができませんでしたよ。元々腕力にも差が有るしね。 はだけた状態で、足を開いたまま座り込んでいる俺の前に、 自分だけさっさと身なりを整えた奴が、所在投げに立ち尽くしている。 「・・・強姦魔」 ボソリと攻撃。ぐっ、と奴が押し黙る。 「おまえなんか、大嫌いだ」 俺はこの言葉の、攻撃力を知っていた。 フっと上を向いて、目に入った奴の顔は・・・ ・・・なんか泣きそう。ちょっと待て。 頼むから、この状況で泣くんじゃないぞ。泣きたいのは俺だ。 お願いです、目を潤ませるのはよして下さい。 「・・・俺だっておまえなんか・・・っ・・・ ・・・チクショウっ!!」 奴の、弱々しい、反撃にもならない口答え。 ・・・正直な性格って損だよね。
いつもの時間に、いつも通りに、俺より早く来ていた奴の、 判決を下される被告みたいな目が、フラッシュバックしてくる。 後悔、もっと言葉を選ぶべきだった。 緊張しすぎで顔色の悪い奴に向かって、 俺の発した言葉はあまりにも無神経で・・・
「女紹介してやろーか?」
被告は死刑判決を受けたような顔をして、俺を見つめた。 ・・・。 マズったなぁ・・・、アレはマズかったよなぁ・・・。 俺なりに考えた末の結論だったんだけどなぁ・・・。 そもそも奴と俺の、物事の受け止め方や考え方、 人間的な性質が、180度違うことを、 俺は見落としていた。
「今、何つった?」 聞き返されて、 「だから女紹介してやろーかって」 何の悪びれも無く繰り返す俺。 被告は、恐らく怒りを抑えるために、拳を震わせていた。 ここから口論がスタートする。 奴は以下の流れで、俺を大声でどなりつけた。 「本気で言ってるのか?」 「真剣に考えてくれよ、頼むから」 「なんでわかんねぇんだよ!」 「もう俺、なんでおまえのこと好きなんだよ」 「ふざけんな、俺のこと馬鹿にしてンのか」 その後は乱闘。結果は見ての通り。 どこでどうまちがったんだろーね、 やっぱあの、「女紹介してやろーか」の一言が、諸悪の根源なのか? さっきも言ったように、これでも俺なりに、考えた末の答えなんだけど・・・。
その答えを出すまでの道順は、極めて単純明快。 昨日奴の真摯な大告白を受けた俺は、奴を好きになった。 ・・・イヤ、恋愛感情でじゃなく、人間的にね。うん。人間的に。 で、ここで縁を切るのは寂しいな、とか思ったわけで。 フツーにトモダチとして付き合ってくにはどうしようか、と。
で、あの一言。
・・・だってさ、思うだろフツー・・・ 男をズリネタにしちゃうってオマエ、溜まってんの?とかさ。 だったら女作れば解決じゃん。って。 ・・・。 馬鹿だな、俺。 考えが自己中スギ。 でもさぁ・・・
「イキナリこれは無いンじゃねーの?」 覇気の無い声で抗議しつつ、俺はのそのそと身なりを整え始める。 だってココ学校だし、こんなカッコ見られたら俺自殺しなきゃだし。 「・・・ア・・ツッ・・はぁ」 全身痛い。 野郎下半身だけ使えばいいものを、上まで剥いで舐めまわしやがって。 ・・・なんかベタベタで気持ち悪い上半身と、動かすのもツライ下半身。 全身ボロボロだよもう、泣きたくなってきた・・・。 だめ、ちょっと動く気力湧かない。もうちょっと回復してからにしよう。 ・・・それまで奴をイビり倒そう。 だって今は、俺のほうが立場強いんだからな、・・・たぶん。 「・・・クソ、体イテーよ十文字、どう責任とってくれるんだ」 無言、奴はその場にあぐらをかいて座る。 「おい・・・」 「・・・」 「・・・十文字」 だんまり。身動き一つしない。 「なんとか言えよ!」 キレ気味にどなる、目ぇ潤んでたらどうしよう・・・。 「ごめん」 実に奴らしい答え。そんなんじゃ気ぃ鎮まんねぇよ。 「オマエさ、犯されるのってどんくらいツライかわかる? イテーし怖ぇーし情けないしで、プライドだってズタズタになンだよ! 体とか舐められた夜なんて、ナメクジの這う夢にうなされるんだ。 テメーにそれがわかンのかよ?」
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Saturday, 01, Apr | トラックバック(0) | コメント(0) | ●三宅受け | 管理
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