リクエストSS シャウロイ |
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彼の手は細くて硬い。
戦闘の時に手刀として使えるくらいだ。
その、
彼に言われた、
「シャウロンの手ってなんか好き」
さきほどからずっと、
彼の頬に宛がわれている私の手も、
戦闘につかうものであることを、
彼は知っているのだろうか。
猫のように、
すりすりと顔をなすりつけてくる彼の、
温かく柔らかな頬が心地よかった。
「・・・」
「へへっ」
嬉しそうに、私の手を顔に押し付け、笑う。
「・・・」
「無口だね、いつもだけど」
「・・・」
ほんの少しの遊び心。
彼が、こちらを掴んでいたその細い指を緩めた隙に、
「!」
でた行動に一瞬、彼はきょとんし間抜けな顔をした。
痩せ型である彼だが、
頬にはちゃんと肉がついているようだ。
「シャウロンがつねった・・・」
眉をさげて見上げてくる彼に、
いいようも無い愛しさを感じる。
そのまま自然と、彼の頬をつまんだその手は、
つねられたそこを癒すように彼の頬を緩く撫でた。
「っ・・・」
笑みが浮かんだのは彼が驚き、
それから顔を赤く火照らせたからだ。
可愛らしいと、
男である彼に思うことは失礼なことかもしれない。
けれど、そういう気持ちを止めることはできなかった。
ただ愛しくて彼の頬を、なぞるように撫でる。
「・・・っ、・・・」
「どうしました、急に無口になって」
「・・・~」
「可笑しな人だ」
「だ、・・・っ、シャウロンが・・・っ」
彼の、言いたいことがなんとなく、
予想できるからまた、
一層笑みがこぼれる。
「も、いいよ撫でてくんなくてもっ!!」
「ふふっ」
「ううっ、やめろよ、凄い恥ずいっ」
真っ赤な顔で、頬に触れていた手から逃れた彼は、
あろうことかこちらの、腰に腕を廻し強く、
抱きついてきたので、
「このほうが逆に恥ずかしいんじゃないですか?」
内心焦りつつ問うと、
「これでいいの、
俺の顔がシャウロンに見えない」
ああ、赤くなっている自覚はあったんですね。
空いた手で、
今度は彼の背中を撫ぜる。
今だけ、この手が野蛮な用途を持っていること、
この手が、時として血に染まることを忘れて、
ただ、彼を撫でるためにあるものだと、
思っていたい。
そうしてずっと、
このままでいたいと、
そんなふうに、
考えてる己がいて、
そんな、
思考に熱が生まれ、
それが顔面に集まっていくのを感じた。
彼の赤い顔が見れないのは残念だけど彼から、
こちらの赤い顔が見えなくて良かった。
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Saturday, 31, Dec | トラックバック(0) | コメント(0) | ●他CP | 管理
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