リクエストSS グリロイ① |
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「グリムジョーグリムジョー」
「なんだよ」
「なあなあ面白れーの」
皆が集まる広い部屋の一角で、
ディ・ロイが弾んだ声を響かせた。
それに、隣にいたグリムジョーが反応する。
「何が?」
大抵暇を持て余している、
その部屋に居合わせた彼等の同胞も、ちらりと様子を伺った。
「見てろな、ほら、こうやって、
左手の指から右の指まで順番に動かすと・・・
なっ!?!?!?ほらーっ!!!!!
ちょーっ、気持ち悪りーの!」
「うわ、う、うごめいてるな」
「面白れーだろ?!」
「なあこれ、二人分にしたらもっと気持ち悪くなるぞ?」
くだらねーっ・・・
心中で呟いたのは恐らく、
二人の一番近い位置にいたエドラドだけではない。
現に、エドラドの丁度向かい側にいたシャウロンは、
「なぜあの二人はあんなにも恐ろしくくだらない事に、
興味を示せるのでしょうか?」
と斜め後ろで不機嫌そうな顔をしているイールフォルトに話し掛けている。
「知るか」
多くの者が呆れと疑問の視線を送っているのにも気付かず、
二人は肩を寄せ合い楽しそうに指を動かす。
「なあ、ちょっとこれ、並べて時間差つけたら、
こう、波みてーにぶあーって、
なるんじゃねえか?」
「え?」
「やってみよーぜ」
「う、うん!!」
ガキ大将そのものの眩しい笑顔を浮かべるグリムジョーに、
ディ・ロイが嬉しそうに微笑む。
普段、仏頂面しか拝めないグリムジョーと、
馬鹿そうにしか笑わないディ・ロイの、根源にある本当の笑みは、
彼等が二人でいる時にしか現れない。
「わっ・・・」
「おー・・・」
「キレーだー」
「だな」
・・・。
やっていることは、もの凄くくだらないのだけれど・・・
「よし、反対側からスタート!」
「馬鹿、ディ・ロイタイミング合わせんの下手だな、
もっと滑るように、滑らかに繋げろ」
「む、難しいよそれ」
「・・・」
「見てないで声を掛ければいいだろう」
「イールフォルト・・・?」
「少し気になってしまったなおまえ?
・・・俺もだ。
だから声を掛けろ」
「・・・」
「ちょっとよく見てみたいと思っただろう、なあ」
自分で、
声を掛けてみればいいだろうと、
言うセリフを飲み込み、
シャウロンが二人に近づこうとしたその時、
「飽きたな」
「うん」
あ・・・
「なあ、何か面白いことねーかな」
「ねえな」
二人はさっさと遊びを止めてしまった。
「グリムジョー」
「なんだよ」
「波綺麗だったな」
「ああ」
もう思い出話の域だ。
今更、その波をもう一度やって、
よく見せてくれとは言えない。
「本物の波とか、もっとすげーかな」
「次元的に別モノだろーが馬鹿だな」
「そっか、でも見てーな」
「見せてやろっか?」
「本当に?」
「嘘」
「ひでーっ」
「傷ついたか」
「傷ついたよ、グリムジョー、信じてたのに」
第一、始まってしまった二人の会話に、
割り入るのがまた難しいのだ。
「・・・悪かったな」
「へへ、嘘ー♪がっかりしただけー」
「てめ、謝らせといてこの野郎、
怒るぞ」
「えっ」
世界、ができているのだ、この二人には独特の。
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Thursday, 02, Feb | トラックバック(0) | コメント(0) | ●他CP | 管理
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