『関係』(完結) |
|
| 「一体何なんですか、この、
犬達は・・・?!」
「わからない、ただおかしな電波を飛ばす塊があったから、
探ってみただけだ、電波はこの犬から出ていた。
機械の脳みそでも持ってるのかもしれないね」
「では、処理、というのは・・・?!」
「単なる記憶消去システムだよ、ただ人が相手だった場合、
会うことで蘇ってしまったりもするようだから、
人とは会えないよう、工作する必要があったんだね」
「殺してまで・・・」
「倫理は、人間に通用することだ、
通用しない人間も居るけど・・・」
「・・・」
「筒を開いて」
藍染からウルキオラへ託され、
今は白哉の手にあるもの。
「見つけただろう」
「・・・」
白哉は懐から筒を出し、それに全員の視線が集まる。
「先輩?」
赤髪の声を静かに無視し、
白哉の顔には笑みがあった。
「これは上に渡すものだ」
「いいから開いて」
「・・・」
白哉の顔に浮かんだ、戸惑いがふとグリムジョーと、
ウルキオラを見て消える。
筒から出たものは中に、機械の詰ったガラスだった。
「誰でもいいから、それを壊すんだ」
藍染の声は絶対の響きを持ち、
その場に居た人間の身をびくりと反応させた。
ガシャン、と音がし、犬達が情けない声を上げた。
キャゥ、キャウゥン、キャゥ・・・!
波のように悲鳴が次から次へと上がり、
ついには逃げていく獣の、たくさんの黒い影を見送り、
機械を壊した手が、白哉のものだったことに、
全員が驚きを隠せずに居た。
「仇は討った・・・」
白哉が呟き、赤髪がしんみりと下を向いて、
それ以上、言葉を発することなく二人は去った。
「これでもう、処理で失うことを怯える必要はなくなったかな」
「え、でもウルキオラの記憶、
戻ったわけじゃないんスよね?!」
「いづれ戻るさ」
「でも・・・」
「グリムジョー」
「うわっ」
悲鳴を上げたのはディ・ロイで、
イールフォルトは冷静、オレンジ髪の青年と、チャドは呆気に取られ、
グリムジョーは固まっていた。
「御あついね・・・」
藍染がひやかすも、
当人達は気にしていない。
というよりは気にする余裕がなかった。
「会いたかった・・・」
淡白な声色だが、情熱の感じられる温度で、
囁きつつ、ウルキオラはグリムジョーにひっしとだきついていた。
「本当に・・・会いたかった・・・」
「お・・・う・・・ぅお」
「グリムジョーしっかり」
「まったく、・・・せっかく、
俺がこんなにも愛しいと感じているのに・・・、
おまえという・・・奴・・・は・・・」
「え?!」
「俺は何をしてる!」
状況一遍、ウルキオラが、
グリムジョーを突き飛ばし、
それはウルキオラの、
あまりにも本来の姿だった。
「随分早い回復だね」
「えぇえ?!」
「即効すぎませんか」
あっという間の一夜。
時刻は 7:30。
*
オレンジ髪の青年と、チャドは後日、
ウルキオラをはじめ、処理された者達によって、
学園寮で盛大に持て成され、
グリムジョーはというと、
記憶の早く戻りすぎたウルキオラを、
相当に残念がっている。
「イールイールー」
「何だ」
「会いたかった・・・!」
「お・・・う・・・ぅお」
ディ・ロイとイールフォルトの間ではウルキオラの真似が流行っていた。
「やめろ」
「やめろ馬鹿」
「ディ・ロイ」
「うん」
「会いたかった・・・!」
「俺も!」
「台詞が違うぞカス」
「もうやめてくれ、頼むから」
「っつか、・・・てめぇ等それ使ってベタ付きてぇだけだろ!!」
「何?!そうなのか?!」
「バレたー!」
「うっぜぇんだよ!!」
「いてぇー!!」
「グリムジョー!貴様カスの頭はデリケートなんだぞ!!
叩くにもコツがいるんだっ!!!」
「黙れっ!」
ぎゃはははは、とディ・ロイの笑い声が響く。
学園は平和に時を刻んでいた。
終
| |
|
Sunday, 05, Apr | トラックバック(0) | コメント(0) | ●高校生破面 | 管理
|
この記事へのコメント投稿はできない設定になっています |